旅道具
ツーリングマガジン「アウトライダー」編集長
菅生 雅文
タフでなければ持つ意味がない
軽くなければ持つ気になれない
クルマの幅寄せ、3ない運動、高速道路の高すぎる通行料金、一部警察官の高圧的態度などなど、
オートバイ乗りにとって腹のたつことは多々ありますが、ムカツキ度ナンバーワンは愛車が盗難されることではないでしょうか。
いや、むかつくなんてもんじゃない。はらわた煮えくり返る思いと言ってもいい。
オートバイの盗難件数は、東京都内だけでも年間2万台弱。50のスクーターは悪ガキのゲタにされ、
250から400クラスの旧車もしくはネイキッドは下っ端ヤンキーの族車に変えられ、
高価なビッグバイクや外車はプロの窃盗団によって海外に売り飛ばされ…。オートバイ乗りにとって、
これは恋人や大切な娘が凌辱されるに匹敵するほどの揉欄。怒り心頭になるのは当然です。
ザケンなよ! と叫んだところで問題は解決しません。じやあいったい僕らはどうしたらいいのか。
まずは盗難を未然に防ぐため、どんな対策を施すべきか考えましょう。
オートバイはハンドルロックをしていても、キーシリンダーに異物を突っ込まれて無理やりこじられたり、
フロントタイヤの下にスケボーのようなものを履かされれば持っていくことが可能。
クレーン付きのトラックで運び去るという手口もあります。
振動を感知すると大音量で鳴るアラームも、安心はできません。スピーカー部に接着剤を流し込まれたらどうなるでしょう。
あるいは、アラームを鳴らす電池の残量は確実にチェックできますか?
プロの窃盗団は、狙ったオートバイを盗むためにはあらゆる手段を使います。
防犯アラーム付きのオートバイがマンション駐車場に停めてあれば、深夜、
そっと忍び込んでわざとアラームが鳴るように揺らして逃走します。オートバイの所有者は、
これが誤作動か、窃盗団の仕業なのか不安にかられますが、何度も続くようなら近所迷惑を避けるためアラームを解除するでしょう。
僕がいろいろ調べた結果、もっとも効果的な盗難対策はチェーンロックの使用です。アラームやイモビライザーなどをきちんと使用した上で、
ガードレールや電柱などの固定物とオートバイをチェーンロックでつなぐのです。
ただし注意してほしいのは、チェーンロックが絶対的な安全を保障するわけではない、ということ。
僕は物理が苦手なので偉そうなことは言えませんが、物理的に切れないチェーンは世の中に存在しないのです。
プロの窃盗団は油圧カッターを使ってチェーンをプツリと切断してしまいます。「物理的には切れちゃう」だから、ブツリ!!!。
僕は物理だけじやなくて駄洒落も苦手のようです。ああこんなことで3行も無駄に使ってしまった。
話を元に戻しましょう。
チェーンロックはいくつかのメーカーからリリースされていますが、
僕が信頼を置いてやまないのが衣川製鎖工業(本社・姫路)の『かて−な!!』です。
これは、とあるオートバイ・クラブが船舶の繋留用チェーン製造会社である同社に依頼し、完成させたもの。
チェーンは硫酸などの薬品による腐食、液体窒素などを使っての冷凍破壊などにも耐えられる特殊金属で作られており、
移動式の油圧カッターでは絶対に切断できない構造になっています。
僕は同社への取材を通じて、なぜこのチェーンが油圧カッターで断ち切れないのか、
その構造上の秘密をうかがいました。それは思わず「なるほど!」とヒザを打つ仕組みなんですが、
ここで明かすと敵の思うツボなので公表しません。
また、南京錠は盗難対策や対テロ対策などで米軍や各国大使頃美術館などが使用している
イスラエル製のマルチロックを採用しています。
標準寸法品はチェーン径16φoで、長さ2m、マルチロック付きのものが5万7800円
(チェーンの長さや太さは、要望に応じて変更ができます)。これを高いと思うか、安いと思うかは人それぞれでしょうが、
僕は各メーカーのチェーンロックと比較し、『かて−な!!』がもっともコストパフォーマンスが高く、安心できると感じました。
ただし、ネックなのが重量です。標準品の総重量は12.9kg自宅で使う分にはいいけど、出かける時には重すぎます。
警察のまとめた統計によると、オートバイの盗難は自宅敷地内の駐輪場よりも、出かけた先で被害に遭うことの方が多く、
車道の路肩や歩道に停めていて盗まれる率は約60%なんです。
だから僕は、同社が新しく開発した『かてーな!!ミニ』の標準寸法品を使用しています(2万4200円)。
こちらはチェーン径8φoで、長さ1.5m、マルチロック付きで重量が3.1kg。
これなら携帯してもそれほど苦にはなりません。また、独立した丸環がひとつ付属しており、これが非常に便利なんです。
通常のチェーンは端と端を南京錠でロックしますので、仮に長さ2mだったとしたら、
使用時は半分以下、1m弱ということになります。けれども『かて−な!!ミニ』は、丸環をチェーンに通すことで、
自由な位置でロックができるというわけ(写真参照)。だから長さ1.5mの標準寸法品でも、寸足らずになりにくいのです。
同社の『かて−な!!』シリーズは1000セット以上販売され、今のところ盗難被害は皆無。
未遂事件の報告が2件あったそうですが、無事だったとのこと。
絶対に安全、ではないけれど、かなり安心できる製品であることは間違いないでしょう。
『かて−な!!ミニ』の標準寸法品を使って、オートバイのフレームと固定物(ガードレール)をつないだ例。
独立丸輪が1ケ付属しているから、こういう芸当が可能なんです。もちろん、独立丸輪がなくても使えます。
写真の標準寸法品以外の『かて−な!!ミニ』、極太チェーンの『かて−な!!』については、
衣川製鎖工業のホームページ「金物屋」を参照してください。これら以外にも盗難防止グッズがたくさん紹介されていて、
必見の価値ありです
ROAD RIDER 2 2005 FEBRUARY P77より (株)学習研究社
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